東京心中読んでみました。
話は・・・
⇒東京心中を読む
いつも仕事選びに失敗している主人公宮坂絢が、なんとなく受けた番組制作会社に受かって、仕事を始めるところからスタートするんですが、そこであったのがディレクターの矢野聖司。
無愛想なクールビューティ的存在で、何を考えているかも読めないんですが、一緒に仕事をしていくうちに、見えてくる矢野の普段は見せないような笑顔などを見て、宮坂も段々と惹かれて行くようになります。
ただ、徹底的に違うのは、目標を持たずにこの世界に入った自分とは違うということ。しかしながら、寝起きのキスや、時折覗かせる笑顔に徐々に惹かれていく自分がいることも確かで。
第二部までに、こうした宮坂の葛藤が見え隠れしたりするんですが、分かりやすくていい。
BLを抜きにしても楽しめる話です。業界的な話もあったりしますが、それでも楽しめるのはさすがです。矢野も矢野で、案外と宮坂のことを気に入っているんだろうな、という感じが最後のほうになると分かってきます。じゃなきゃ、あんなお誘いのセリフは出ないでしょう。
どんどん親密度が上がっていくので、それを見ているのも楽しいんですが、テレビ業界という妙にリアリティを感じる世界でありながら、それすら忘れさせてしまう宮坂と矢野の関係は必見。
他の人の感想を見てみても、けっこう個性的な意見が多いですね。いろいろな意味で理解できない分読んでいて取り残された感じがある、というのは私も共感できます。レビューから入っていった話だったんですが、なんだか面白そうだぞ、と。
宮坂のテンポがいいわけではない、といわれつつも、生き方について変化が見られる、というような人もいて、なんだかギャップがあるのかなと思って読んでみたらそうでもなくて。
でもセリフでも見せてくれるところは見せてくれます。「どうしてもやりたいことがあるって、どんな感じですか?」この宮坂の問いかけはずんと響きますね。やりたいことを追いかけていた学生時代って、どんな感じだったかなと思いながら読んでしまいました。
矢野も無口で無表情ながら存在感がありますし、宮坂が惹かれていくのは分かる気がします。元々同人誌として販売されていたようですが、本格的に連載されると楽しいものです。読んでいて引き込まれていく独特の世界観がありますね。
同人誌って読んでいると作家さんの力量の差が分かるんですが、キャラクター設定がしっかりされている作家さんなので、読んでいて飽きることはないと思います。対照的な2人の恋愛関係を楽しみたい方にお勧めです。
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